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カンブレー同盟戦争 その9

 1509年5月14日 

 ルイ12世は夕暮れの戦場で、勝利の美酒に酔いしれていた。
 戦場となったぶどう畑は砲弾でえぐれ、黒々とした地面を剥き
 出しにしていた。その剥き出しとなった地面には、数千の男達
 の死体で埋め尽くされている。しかし、その死体の山の大半は
 赤と白の軍服のヴェネツィア兵であった。
 我々は遂に勝ったのだ。あの高慢なヴェネト人共に!
 いまや、フランスはミラノを手中に収め、この後はヴェネツィア
 を併呑し、北イタリアの覇者となる。
 北イタリアとフランスの国土を合わせれば、欧州では他を圧倒す
 る強国になる。
 弱体なドイツ、つい20年程までイスラームと戦っていたスペイン
 など、北イタリアを手に入れたら、返し刃で滅ぼしてくれるわ!
 私は欧州の全てを手に入れ、シャルルマーニュ以来の王となり
 君臨するのだ!

 「この地に、礼拝堂を建てるのだ。死んだ兵の冥福を祈る為
 それと、この戦いの勝利を記念する為に」

 その礼拝堂は、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリアの名を付け
 て敬意を表するのである。

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ガンブレーその1

 フランス王が勝利に酔いしれている間、トリヴルツィオは、戦後
 処理に没頭していた。本来、戦後処理や戦争の総指揮は王で
 あるルイ12世が行なうべきであるが、トリヴルツィオは、その卓
 越した能力と、フランス王やミラノ総督ダンボアーズの絶大な信
 頼があり、戦争行動の全てを任されていた。

 「報告します。敵司令官のバルトロメオ・ダルヴィアーノを捕虜
 に致しました・・・いかが致します?」

 「会おう、ここに連れて参れ・・・」

 王の天幕に連れて来られたダルヴィアーノは全身に矢傷や打撲
 を負っていた。華麗な装飾を施された鎧も、乱戦の最中引き千切
 られボロ布のような姿になっている。

 「・・・・・・無様だな、ダルヴィアーノ」

 トリヴルツィオの問いに彼は鼻で笑うだけで答えない。

 「片目が潰れたか、隻眼では2人相手に戦う事も出来まい」

 「・・・・・・」

 「・・・どうだ、ダルヴィアーノ、俺の下で働く気はあるか?」

 ダルヴィアーノはトリヴルツィオを睨むと、顔に唾棄した。
 トリヴルツィオは周りの兵がダルヴィアーノに掴みかかるのを
 片手で制し、ダルヴィアーノを見下して言った。

 「・・・それが答えか、ならば良い。だが、貴様は敗者だ、
 敗者の処遇を受けるがいい」

 ダルヴィアーノは捕虜として牢に囚われることになる。
 彼が釈放されるのは、4年後の1513年3月23日になる。

 運目の女神と力量により、勝ち得た勝利に怠惰によって
 腐らせてしまうのはよくある話だが、北イタリアの征服を目指す
 ルイ12世は、翌日にはカラヴァッジョに赴き、街を手中に収める。
 さらに翌16日にはベルガモ(紫)を征服する。この時、ヴェネツィ
 ア貴族のマリーノ・ソルズィ(塩野七生 神の代理人でお馴染み)
 が捕虜になる。
 この報にブレッシア(Bresia)の街はギベリン党の領袖ジョヴァンフ
 ランチェスコ・ガムバラ伯の勧告に従い、城門の幾つかを占拠す
 る。参謀ジョルジョ・コルナロが説得するが効果は無い。次いで、
 ヴェネツィア軍が街に入ろうとするが、この時のヴェネツィア軍は
 兵が脱走したり、敵に寝返ったりして相当数を減らしていた。
 街に入れない以上、ここでフランス軍と戦闘になったら壊滅は
 必至であるので、ペスキエラの要塞へ撤退する事に決めた。

 かくして、ブレッシア市はフランス王に降伏する。中に居たヴェ
 ネツィア人は釈放されたが、ヴェネツィア人貴族は除かれると
 いう条件であった。

 このようにして、つい一月程前までは北イタリアの覇者であった
 共和国は、敗戦から僅かの間で多数の領土を失い、かつてイタ
 リア一の軍隊は、今や半数以上を失ってしまった。
 アニャデッロの敗戦の報がヴェネツィアに届くと、彼らは悲嘆し、
 仰天した。ヴェネツィア人はこのような逆境に遭遇したとは無か
 った。彼らにとって戦争と言えば、常に勝ち続けるものであった。
 市民達は恐慌し、混乱して元首宮殿に駆けつける。
 しかし、どのような長い協議を経ても、議員達は絶望に圧倒され
 何を為すべきかも決定する事は出来ないで居る。

 軍隊は壊滅し、司令官も数多く失われ、残った兵も絶望し士気
 は失われてしまった。かつての支配下にあった街は、次々と王
 の慈悲に委ねるか、反乱を企んでいる。さらに、王は勝ち戦に
 乗じ、この水の都市までも手に入れようと企んでいる。
 それだけではなく、彼らの同盟者の教皇、神聖ローマ皇帝も
 我々の都市を食い荒らそうとしていた。

 最早、勝つ手段は残されていないが、国家の維持を目標とする
 事に決定する。

 すなわち、教皇とドイツ皇帝とフランス王と何とかして講和を結
 ぶ事であった。

 ブレッシアを落としたフランス王にクレモナ市(緑)が降伏する。
 しかし、クレモナの城塞は、ヴェネツィア貴族が逃げ込んでい
 て防衛していた。王はこの要塞を陥落させる為に兵を派遣し
 包囲した。

 一方のヴェネツィア軍は、ヴェローナ近郊に野営していた。
 都市に入れないのは、ヴェローナ(黄)人は城門を硬く閉ざした
 まま兵を入れようとしなかったのだ。

 フランス王はクレモナの要塞は別にしても、会戦から僅か14
 日間で多数の都市を確保した。その都市から上がる利益は
 20万ドゥカートにも上る。その収入はフランス王を大いに富ま
 せる金額であった。

 さらに、フランス軍本隊はヴェネツィア軍の要塞ペスキエラに
 進軍する。(ヴェローナの西のガルダ湖の河畔)この要塞には
 500名程の兵が立て篭もっていたが、フランス軍の砲撃で壁は
 崩され、400名が虐殺される。この街を司令官は捕らえられ、
 彼の息子と共に処刑された。

カンブレー同盟戦争 その2

 一方の教皇軍は重装騎兵400と軽装騎兵400と歩兵8千で
 ブリジゲッラを包囲した。援軍のフェラーラ公の砲撃が、弾薬庫
 に着弾して大火災となる。その結果、立て篭もっていたヴェネ
 ツィア軍は降伏し、ジャンパオロ・マンフローネは捕虜となる。

 次に、ルッシの包囲に向った。ラヴェンナとファエンツァの中間
 にある要塞だ。この要塞は堀と補強された城壁で取り囲まれ
 ており、教皇軍の攻撃にも耐え抜く事が出来た。そのうち、ラ
 ヴェンナより、ジョヴァンニ・グレゴは配下の兵を連れて救援に
 駆けつけたが、敗退し捕えられる。その結果、ルッシの要塞も
 教皇に降る。そのほぼ同時期にファエンツァ(黄)を包囲してい
 た教皇軍は、立て篭もっているヴェネツィア軍の身の安全と引
 き換えに、街を手に入れた。だが、身の安全の保障されていた
 はずであった500人のヴェネツィア兵はウルビーノ公の命令で
 強奪される。

 それらを完了した教皇軍がラヴェンナに接近する。
 教皇軍現る。の報を聞いた市はその日の内に降伏する。
 こうして、ロマーニャ地方のヴェネツィア軍は駆逐された。

 一方、それまで同盟には中立の立場でいたフェラーラ公も
 ヴェネツィア軍の大敗を知ると、直ちにフェラーラに居たヴェネ
 ツィアの代官を追放。そして、近隣の都市を占領すると、その
 大砲を以って、アディーチェ川に居たヴェネツィア艦隊を沈没さ
 せる。

 マントヴァ候は、以前奪う事に失敗したアゾラとルナートを手に
 入れた。その街は現マントヴァ候の曾祖父の代にヴェネツィア
 に奪われた物で奪還する正当な理由があった。

 その頃、元老院では神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン一世の
 許に元老院議員アントニオ・ジュスティニアーニを派遣する。
 ヴェネツィア貴族の中でも高貴な家柄で、優れた外交官であった
 彼は、皇帝と領土を放棄してでも和平を勝ち取るよう命令されて
 いた。謁見を許された彼は、見事なラテン語で恭順の演説を述
 べるが、ここで全ての文を載せる訳には行かないので、一部を
 略して挿入させてもらいます。

 「真の不滅なる栄光とは、自己を抑制して得られる栄光である。
 と、古代の哲学者は断言しておりますが、これは明らかに正しい
 ことであります。数多くの勝利を挙げたアレクサンドロス王に不滅
 の栄光を与えたのも、このような栄光ではなかったのでしょうか。
 彼に敗れたペルシャ王は、神々に自分の王国の安泰を乞い願っ
 たのでありますが、それが叶わないのであれば、後継者として
 求めたのは、このような慈愛に満ちた敵、温和な勝利者ではなか
 ったでしょうか。
 陛下の御名と幸運は、独裁者カエサルに由来し、またカエサルの
 寛大さ、力量、雅量をも受け継いでおりますが、カエサルは、敵
 を「寛容の心」で赦すことによって神々に加えられるのに値した
 のではないでしょうか。
 最後に、世界の調教者であった、ローマ元老院とローマ市民は、
 多くの民族と属州を支配致しましたが、抑圧や武器をもって支配
 するというより、慈悲の心をもって支配していたのではないでしょ
 うか。陛下はそのローマの帝権を継承している唯一のお方です。
 いまや、陛下はヴェネツィア人より勝利を手にしております。
 陛下がローマ人の例に倣いまして、その勝利を利用し平和の道
 を専念されるのであれば、この上なく称賛される事にならないで
 しょうか。
 我々の絶望な状況に、陛下は必ずや哀れみをお示し下さるもの
 と信じております。さすれば、我々は元首と元老院の名において
 また、全ヴェネツィアの市民の名において、ひたすら哀願し、懇願
 するものであります。
 我々は、陛下のお示しになられる和平条件はすべて心から受け
 入れるつもりであります。我々は、真の、正当な君主であります
 陛下との合意に基づきまして、我々の先祖、先輩が奪った一切
 の領土を返還いたします。これらに加えまして、本土内の全てを
 放棄いたします。さらに、我々は毎年、陛下やその後継者に5万
 ドゥカートを永久にお支払いします。また我々は、陛下のご命令
 勅令、指示には、自ら進んで従うつもりでおります。
 陛下にお願い申し上げたいのは、つい最近まで我々が同盟を
 結んでいた者(フランスである)の横暴から我々の兵を守って頂く
 ことだけであります。」

 さらに、元老院は同じ様な決意にしたがってアラゴン王に使者
 を派遣し、彼らに沿岸都市を明け渡す。アラゴン王は、一兵を
 動かす事無く、労苦の果実を享受できるのであった。

 次回へ続く

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