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カンブレー同盟戦争 その8 (アニャデッロの会戦)

 1509年5月10日

 ヴェネツィア軍とフランス軍は対峙したまま夜明けを迎える。

 ヴェネツィア軍は小高い丘の上に強固な陣を築いたままフラン
 ス軍の攻撃を待ち受ける。兵力差に劣る我等が勝利を得るに
 は敵より有利なこの陣から動くべきではないというピティリア
 ーノ伯の考えによるものである。

 一方のフランス王ルイ12世の考えは兵力の質と数、さらには
 指揮官の力量はヴェネト人より優れていると信じていた。
 彼等の力量を生かしきるには、平地における会戦しかありえ
 ないと考え、何とかしてヴェネツィア軍を陣地より引きずり出す
 ために彼らを挑発するとした。

 翌11日その日は、両軍とも軽装騎兵同士の小競り合いをする
 だけにとどまる。大砲を据えて会戦の機会を捉えようとしたが、
 ヴェネツィア軍本隊が陣地より出撃する事は無かった。

 翌12日、フランス軍はリヴォルタ・ダッタに兵の一部を出動させる。
 ヴェネト人がこの街に援軍を出す意思があるか否かを確かめるた
 めであった。しかし彼等が動き出す気配はない。
 そのためフランス軍はヴェネツィア軍の宿営地の眼前に展開する。
 5時間に渡りヴェネツィア軍を挑発したが、フランス軍の前面に軍の
 向きを変えた以外動こうともしなかった。
 結局、フランス王はヴェネト人達はあえて合戦をする意思は無いと
 いう暗黙の了解を得ただけである。

 その間にもフランス軍はリヴォルタ・ダッタを陥落させる。フラン
 ス軍はその夜をこの地で過ごす。

 ルイ12世は遅々として進まぬ戦況に苛立ちを露わにしていた。
 ヴェネト人の戦術は不愉快であったが、それだけに称賛に値
 するものであった。13日をリヴォルタ・ダッタですごした後、街に
 火をつけて出発する。目的は、クレモーナ方面からの補給路の
 遮断である。

 ヴェネツィア軍の司令官達はフランス軍の動きの意図を把握し
 ていた。元老院からはクレモーナの保持は厳命されていた。
 現在のクレモーナの守備軍では、フランス軍の前に蹴散らさ
 れてしまうのも目に見えていた。このため、ヴェネツィア軍は、
 今の陣地を捨ててクレモーナに立て篭もると決定する。
 しかしピティリアーノは、今動くとフランス軍に突かれる恐れが
 あるので移動を翌日にしよう、と言う。しかし、ダルヴィアーノは
 敵に先んじる必要がある、と逆のことを激しく主張する。
 最終的に、即座に移動することが決定される。

 1509年5月14日のことだった。

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ガンブレーその1

 クレモーナへ向う道は2本有った。一方はアッダ川の近くの低地
 を走る道。この道はクレモーナへ向うには曲線が多く、距離が長
 い。

 もう一本は川から離れているが、直線の道で距離が短い。この
 地方の住民は2本の道を合わせて「弓の道」と呼ぶ。川沿いの
 道が弓で、直線の道が弓の弦だというのである。

 フランス軍は水の確保が容易な弓の道を取る。一方のヴェネツ
 ィア軍は、クレモーナ(緑)に急行する意図から弦の道を進む。

 この時、ヴェネツィア軍の構成は前衛軍に重装騎兵と軽装騎兵
 の大半、それの後に新兵1万5千、精鋭歩兵5千。
 指揮はピティリアーノ伯と、参謀ジョルジョ・コルナロであった。

 後衛は軽装騎兵800に精鋭歩兵1万。足の遅い補給部隊に砲兵
 隊も加わる。指揮はダルヴィアーノと参謀グリッティ。
 尚、我がギリシャ傭兵隊は後衛に加わる。

 急いでクレモーナに向かわねばならないという意思とは裏腹に
 茨や低木、ぶどう畑が妨げとなり、それほど先に進む事が出来
 ない。そして、両軍ともお互いの姿を見る事も、近くに敵が存在
 を知る事もできなかった。

 このようにしてヴェネツィア軍は絶えず前へと進んでいくが、
 そのうち、シャルル・ダンボアーズとトリヴルツィオ率いるフランス
 前衛軍(800の騎士とスイス槍兵6千)と、ダルヴィアーノ率いる
 後衛軍が急接近した。(地図の白の地点)


 「報告します。ピエロ殿率いる歩兵の最後衛の部隊が、フランス
 軍の騎兵と槍兵に襲われています!」

 ダルヴィアーノが報告を受けたのは正午頃、ブドウ畑をようやく
 抜けて、平地に出た直後の事である。

 「なんだと!敵の規模は?」

 「不明ですが多数です・・・何分、歩兵の半数は畑の中ですので」

 報告を受けてダルヴィアーノは、暫し考え決断する。

 「直ぐに引き返す。偵察ではないだろう。誰か、総司令官に援軍
 の要請を頼む」

 「お待ち下さい閣下」

 声を掛けたのは参謀のグリッティだった。

 「総司令官からは戦闘は避けろと命令が出ておりますが・・・」

 「そんな命令従う必要があるか。このまま見逃せば精鋭歩兵と
 大砲を失うぞ。今が必要な時(ネチェシタ)だ」

 ダルヴィアーノの眼差しには好戦的なきらめきがあり、既に
 頭の中は戦いに向っていた。グリッティは説得を諦める。
 
 「はぁ・・・分った。私は一応反対したぞ。なれば戦うなら
 畑に向うのは歩兵だけにしておくべきだな」

 「うむ、葡萄畑は低木だから、騎馬だとかえって邪魔になるな。
 砲兵を救出して、右手の丘に配置しよう。騎兵は畑を抜けて
 出た敵兵を打ち倒すのに専念させる」

 「騎兵隊はダルヴィアーノ殿が専門だから任せよう。私は、歩
 兵の指揮を執りにいく。では」

 行軍隊形でフランス軍の攻撃を受けたヴェネツィア軍は一時的に
 混乱したが、ピエロ直属の部隊は直ぐに体勢を立て直す。また
 フランス軍の騎兵部隊は、葡萄の木の蔦のために動きが自由に
 取れず、ヴェネツィア軍の歩兵に次々と倒されていく。さらに、
 砲兵隊が丘の上から砲撃を加える。葡萄の木々に隠れ、狙いは
 不正確であったが、動きの取れない敵は砲弾をもろに喰らい肉片
 と化していった。

 その頃、戦闘開始と援軍要請の報告を聞いた総司令官ピティリ
 アーノは怒り狂っていた。本国からの指令は「戦闘を避けよ」であ
 る。にも拘らず戦端を開いたダルヴィアーノの命令違反と無謀さ
 に対し

 「とにかく前進せよ。合戦を避けるようにしなければならない。これ
 は、元老院からの厳命であり、この戦争はそうせねばならない」

 と言うのである。

 序盤の内はヴェネツィア軍優勢で推移していた戦いであるが、
 フランス王の本隊が到着すると情勢は一変した。フランス王は
 重装騎兵をぶどう畑を迂回させると同時に、槍兵隊を中心に
 ヴェネツィア軍の歩兵隊を壊滅させようと図る。フランス軍の
 総攻撃が始まる。午後2時頃だった。


 「騎兵を追うな!それよりスイス槍兵が突っ込んでくるぞ!
 方陣を組みなおせ!」

 ピエロは2時間以上敵の猛攻を受け止め続けていた。その顔に
 疲労の色が色濃く出ている。他方、フランス軍は本隊の救援で
 士気は高まっていた。槍兵の方陣が突進してくる。スイス傭兵
 は、その力量から、欧州一の傭兵と名高い。

 「石弓隊、射撃開始!」

 ヴェネツィア軍自慢の石弓部隊も射撃を開始する。太く短い矢
 が高速で飛び、鎖鎧を貫通して最前列の兵はばたばたと倒れ
 る。さらに砲弾が直撃して4~5人の敵兵がぶどうの木ごとなぎ
 倒された。

 「歩兵隊、敵を押し返せ!先に進ませるな」

 歩兵隊が前に出て何とか喰い止めようと立ち向かう。しかし、
 巨大な塊と化した密集方陣に向った兵は次々と突き出される
 槍に一人、また一人と倒されていく。その上、方陣を守るように
 フランス軍の歩兵部隊が展開する。フランス王自ら、危険を顧み
 ず前線に出てくるのを見たフランス兵は勇気を得て猛然とヴェネ
 ツィア軍に立ち向かう。

 「国王万歳!異端者に死を!」

 「ヴィーヴァ!ヴェネツィア!ヴィーヴァ!サン・マルコ!」

 両軍の鼓舞の声と喊声、叫び声、打ちつける剣の音、砲声、
 銃声の前に冷静な判断を出来る者はいない。両軍の兵士と
 もただ獣のように血を求め、興奮の渦に巻き込まれていった。

 戦況は、ヴェネツィア軍有利から膠着、そして劣勢に動く。
 我がギリシャ人傭兵部隊の歩兵も圧倒的な数の差に押され
 ていき次第に討ち取られていく。

 「ゲラシモス様、ポロディモス殿が討ち取られ、彼の漁師隊が
 壊滅状態です・・・」

 「ゲダクレス様の魚部隊が方陣に切り込み、半数を打ち倒しま
 したが包囲されて全滅した模様」

 「アソポイオス様の漁師部隊がフランス剣兵の猛攻に押され
 救援を求めています!」

  歩兵隊の指揮官ゲラシモスは次々と入ってくる報告に、適切な
 対応を続けていたが、この時、1500居た兵は800近くまで磨り減
 っていた。時刻は午後3時になろうとしていた。

 そのとき、突然の大雨が降ってきた。これにより大砲が使えなく
 なる。また、足場が滑りやすく戦う事が出来ない。さらに味方の
 救援は、幾ら待てど兵の一人も現れる事はなかった。

 そのような状況になり、ヴェネツィア軍の歩兵は崩壊を始める。
 1人の敗走が5人、10人、遂には部隊ごと武器を捨てて逃げ出
 す。その状況を見たフランス軍の将トリヴルツィオは叫ぶ。

 「戦機を得た!」

 そして後衛部隊と呼応して、抵抗を続ける歩兵部隊を一気呵成
 に押し込む。もはやヴェネツィア軍歩兵隊はこの猛攻を受け止め
 る術は残されていなく、ぶどう畑から追い出されてしまった。

 兵の敗走を押し止めようとするピエロの脇腹に穂先が突き刺さ
 る。顔をあげ正面を見据える。彼が最後に見た光景は、自分に
 向って突き出される無数の槍だった。

 遂に合戦の場は開けた土地に移る。この時点で組織的な抵抗を
 するのは5千に満たない数である。

 もはや、戦いの勝利の希望は既に失われていた。しかし、残った
 兵は命を永らえる為ではなく、栄光のために戦っている。ダルヴ
 ィアーノは剣を指揮杖代わりに声をからして叱咤激励している。
 800の騎兵(うち600は我が騎兵隊だが)縦横無尽に駆け回り戦
 っている。しかし、フランス軍は2千の精鋭騎士と歩兵の応援を
 得て、ヴェネツィア軍を3方向から押しつぶした。


 「閣下、残っていた歩兵隊も、既に力尽きるか敗走するかのいず
 れかです。我々も包囲しかかっています・・・ピエロ殿は既に戦死
 し、グリッティ殿は何とか逃げ延びた模様です。囲みを切り開い
 て脱出致しましょう・・・」

 メルギウスはダルヴィアーノに撤退を提案する。父の姿は兜を
 失い全身血に塗れていた。持っていたダマスカス産の曲刀も
 刃こぼれしている。ゼノンの肩には大きな裂傷が出来ていて
 痛々しい。周りを見回したが怪我をしていない者はいなかった。

 その姿を見て、ダルヴィアーノは一つの決断をする。

 「よし・・・・・・分った。メルギウス、君の部隊はクレモーナ方面
 に向え。私直属の部隊は、フランス軍中央に突入する」

 「閣下・・・まさか」

 ダルヴィアーノはメルギウスの言葉を遮り、鞍にしまって置いた
 指揮杖をメルギウスに差し出す。

 「私は・・・いずれにしろ敗戦の責任を取らねばならない。元老
 院に処刑されるぐらいなら、敵と戦っての死を選ぶ・・・それに
 私は、奴との決着をつけねばならない・・・」

 ダルヴィアーノが言ったのはトリヴルツィオのことである。

 「君には、騎兵隊の指揮権をやろう。まだ、息子も居るから
 死ぬべきではない・・・後は頼んだ」

 ダルヴィアーノは兜の前面装甲(ヴァイザー)を降ろすと剣を掲
 げ敵に乗り込んでいった。後には指揮下の騎兵(と言っても
 この時既に50人程度の数だが)が続いていった。ダルヴィア
 ーノの姿は敵の只中に消えていった。

 「・・・隊長、早く脱出致しやしょう。でないと我々まで逃げれな
 くなりやす」

 なんとか、囲みを突破して戦場から離脱した。暫く進むと歩兵部
 隊と合流する。敗残兵を取り纏めていたのはグリッティだった。
 ダルヴィアーノの最後を報告すると、グリッティは「そうか・・・」
 とだけ呟いた。

 午後4時ごろである。

 史上アニャデッロの戦い(またはヴァイラの戦い)はヴェネツィア
 軍の敗北で終わる。損害は諸説あるが、8千の歩兵が殺され、
 大砲の殆どが奪われてしまう。また、ダルヴィアーノも失われた。

 この戦い以降、ヴェネツィアは欧州の主要国家から一気に没落
 することになる。

 次回へ続く

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