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カンブレー同盟戦争 その5

 正反対の意見があった場合、しばしばその中間が取られるが、
 今回の場合もそれに従って決定された。

 元老院の討議に掛けられた双方の策であったが、結果は双方
 の策とも退けられる。
 ダルヴィアーノの策は余りに大胆すぎるからであった。
 また、ピティリアーノのそれは余りにも臆病で、迫り来る危険の
 性格をよく考えていないとされたのである。

 元老院としては、確実に対応し、彼らの権力を多少失おうとも
 可能な限り被害を最小限に抑えることが出来れば上首尾で
 あっただろう。そして、フランスに対して全兵力をで当たるなど
 教皇軍が強力な援軍を得て攻撃してきた場合、いかなる武器、
 いかなる将官、いかなる兵力をもって対抗できるであろうかが
 懸念された。

 このようなことを考慮に入れると、より確実で、より安全に思われて
 考えられていた策が、不確実で、より危険なものに見えてくるもの
 なのである。

      フランチェスコ・グイッチャルディーニ著「イタリア史」より抜粋

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ガンブレーその1


 1509年4月15日未明

 「アッダ川の前まで前進せよと?元老院は、そう判断したのか」

 本国からの使者が到着し、急遽、作戦会議が召集される。元老院
 からの命令書を聞き、総司令官ピティリアーノは我が耳を疑った。

 「はっ、それから、何らかの大きな期待、あるいは緊急やむを得ぬ
 必要(ネチェシタ)のない場合には、敵に対して武器を執ってはなら
 ないと厳命する。以上であります」

 伝令兵の言葉が終わると共に、将官達に沈黙が広がった。
 それを最初に破ったのは、副司令官のダルヴィアーノだった。

 「貴族達は一体何を考えているんだ!この期に及んで敵との戦
 闘を避けろなどと、あいつ等、自分が戦場に出てこないのをいい
 事に、俺達に無茶を言いやがって」

 机を叩いて激昂する彼を、珍しくピティリアーノがなだめる。

 「それが、彼等の決定ならば仕方無い事だ。我々は総司令官と言
 っても戦闘の采配しか権限が無いからな。戦場の決定、物資の
 調達、傭兵の監視、資金の管理を握っているのは・・・」

 言葉を切って、参謀の貴族達を睨む。グリッティは臆さず反論する。

 「この件は、私が決めた事ではない。だが、傭兵に全てを任せられ
 ないのは明白だ。資金の管理も同様。それに、今までもこのように
 して戦って勝ってきた」

 「そうか、では今回が初めての敗戦になるのだな」

 自分の策を潰されたピティリアーノは皮肉を漏らす

 「敵と接近しておいて戦うなとはどういう事なんだ。こちらが戦う
 気が無くとも、向こうが襲ってきたらどうするんだ!」

 ダルヴィアーノも言葉を強くして主張する。「そうだ、そうだ」と声が
 上がる。席を立ち上がり、掴みかかりそうな勢いで他の傭兵隊長
 もにじり寄る割って入り、押し止めたのは参謀の一人のコルナロ
 である。

 「みなさん、まずは落ち着いて。決めたのはグリッティ殿が言った
 とおり、この地に居る貴族達では有りませんから」

 もう一人の参謀サヴォルニャンも必死で押し止める。彼は、この後
 命令書に従い、対ドイツ方面の防衛に廻される事になっていた。

 「そうです、まだ全軍が揃ったわけでは有りませんので、集結したら
 フォンタネッラ(赤印)に進軍するのはいかがでしょう。あの地なら、
 ベルガモ(紫)、トレヴィーリオ(水色)、クレーマ(ピンク)方面の防衛に
 適しています」

 それを聞いたピィティリアーノは、納得する。

 「たしかに、現状では他に手は無いだろうな。うまくいけば、クレ
 モナ(緑)の部隊と共同して、アッダ川(白のそば)を渡河してきた
 フランス軍を蹴散らせるかもしれない・・・」

 「もう、既にミラノにはフランス軍が集結しているだろうから、
 強襲するのも厳しいだろうからな」

 ダルヴィアーノが仕方が無く納得すると、傭兵隊長達の殆ども
 納得した

 「さて、そろそろ夜が明けてきたようだ。会議は解散としよう」

 うまく、ピティリアーノが纏めて会議は集結した。


 この日は、遂に敵軍が動き出した日でもあった。

 フランス軍の指揮官シャルル・ダンボアーズは、騎兵3千と歩兵6
 千を率いて、アッダ川を渡河する。目指すのはトレヴィーリオ(水色)
 その地には、指揮官モロジーニ率いる軽騎兵300騎と、徴兵した
 ばかりの歩兵が1000人が防衛に当たっていた。

 当初、フランス軍は散開して進んでいた。このためモロジーニは、農
 村部を荒らすために現れた兵だと誤認した。

 モロジーニは、歩兵200と少数の騎兵を送り出す。この部隊と、フラン
 ス軍の一部が遭遇する。フランス軍に蹴散らされたこの部隊は、なん
 とか城門まで撤退する。その時、フランス軍の全軍が現れ、大砲を設
 置しての砲撃が始まる。さらに、恐れをなした住民の反乱によって、
 モロジーニは捕えられ、敵軍に無条件降伏した。

 この戦いで、逃げ切ったのは200の騎兵のみで、他は全て敵の手に
 捕えられた。ただでさえ兵力差のある我が軍にとって、この損失は
 小さいものではなかった。

 そして、周辺のいくつかの都市を降伏させ、少数の守備兵を残した
 後、この日は、アッダ川を渡りミラノへ撤退した。


 さらに、同日にマントヴァ侯も侵攻を開始する。周辺の城を落としつつ
 アゾラ(青の右側にある丸印)に向けて進軍を開始した。この報を受
 けたダルヴィアーノは軍の一部をアゾラ救援に出す。ダルヴィアーノ
 自身は、大軍を持って、ピアチェンツァ(地図上 Piacenza)
 方面に向う。マントヴァ軍とフランス軍の間を割るつもりだった。

 我が部隊は、アゾラ救援部隊の中核として参加する事になった。
 他にも、ピエロ率いる歩兵隊1500を加えた、騎兵600、歩兵3000の
 部隊である。

 「まず、城に篭っているのは700程度の歩兵だ。敵軍は騎兵こそ200
 程度と聞いているが、歩兵は3000近くだそうだ」

 父は、馬の上で片手で地図を開きながら作戦会議をする。行軍中
 になるだけ決めておきたかった。ゼノンやピエロ、歩兵隊のゲラシモ
 ス、参謀役の陳老人や俺は馬を寄せて、話に耳を傾ける。

 「早く向わねば、城が持たない。この兵力だけで、攻城戦はご免こう
 むるからな」

 父が冗談を言ったらしいが誰も笑わない。舌打ちして話を続ける

 「敵軍の状況は、アゾラの街の近くの丘の上に、ファルコネット砲を
 設置して砲撃している。騎兵は丘の下で警戒に当たり、歩兵は城塞
 の攻略をしているだろう」

 メルギウスは地図に指を示しながら指示を下す

 「問題は如何にして砲台を潰すかだ、砲を奪取できれば、それを利用
 して敵軍に砲撃を喰らわせる事も出来る。逆に、砲を無力化出来なけ
 れば、こちらが砲撃により損害を受けてしまう・・・ピエロ殿」

 歩兵部隊の連隊長のピエロを呼び寄せる

 「ピエロ殿には、城塞に取り付いている歩兵部隊に当たってもらいた
 い。城内の部隊と呼応すれば、優勢に戦えるであろう。それから、
 ゲラシモス率いる漁師部隊900も指揮下に加えていただきたい」

 「了解しました。善処します」

 「よろしくお願いする。砲台を制圧するのは、騎兵600と魚部隊600
 で、騎兵は400と200に分けて、400は敵の騎兵に当たり、200と魚
 部隊600は大砲の制圧をする。騎兵400が私が指揮しよう。魚部隊
 は陳老人任せよう。騎兵200はゼノンに任せる。アーカントスはゼノ
 ンと共に・・・まぁ、こんな感じで良いだろう」

 アゾラへの道を進んでいくと、二本に分かれる道に出た。一本は
 アゾラの城門に向う道で、もう一本はマントヴァ方面に向う道だった

 「この道で、二手に分かれよう。ピエロ殿は城門に向う道へ、我々
 は、マントヴァ方面の道を行く。この道沿いに行けば、砲台の丘の
 すぐ裏手に出れるはずだ」

 「では、メルギウス殿、幸運を祈ります」ピエロ達は城門への道へ
 進む。

 「うむ、幸運を祈る・・・それから、余り深追いしなくとも良い。アゾラ
 の街を守る事が第一だ」

 マントヴァ方面の道へと向っている途中、父が俺に語りかけてきた

 「一つ、覚えて欲しいことがある。同じ武器、装備で訓練された兵士
 と新兵が戦ったとする。訓練された兵士の力量を十とすると、新兵の
 力量は七だ。勝敗は見えている。そして、戦いを積んだ兵士の力量
 は12ほどだ・・・・・・そして、この世で最も鍛錬を積んだ、戦闘の達人
 の力量は・・・幾つか分るか?」

 少し考えて答える

 「30・・・いや、20位ですか?」

 「答えは15だ。人間の能力には限界がある。また、どんな戦闘の
 達人でも、多数の敵に囲まれては、死を待つ運命だ・・・私の父、
 つまり、お前の祖父は、誰と戦っても負けなかったが、その最後は、
 敵に取り囲まれ、名も無い雑兵によって討たれた・・・よく覚えておけ
 武を極めても驕り高ぶって、単身敵に乗り込むような真似をすると、
 必ず命を落とす」

 「そのためには、己の丈に合った武器を使え。お前は、槍と剣を使う
 が騎兵相手に槍は有効だが、歩兵相手には剣が有効な場合も
 ある。槍は、右側の敵と戦うのには便利だが、左側の敵と戦うの
 は不向きだ。剣なら、攻撃範囲が劣るものの、右にも左にも振り
 下ろせて扱いやすい」

 「あっしの大斧のように、石突に刃を着けると便利ですぜ」

 黙って聞き耳を立てていたゼノンが口を出す。

 「いやいや、私達のように、スキアヴォーナを使ってみませんか?
 ロングソードだと片手で扱い難いですが、この剣なら片手でも丁度良
 い長さですし、ある程度重みも有るので叩き斬ったり、突くのにも十
 分な威力が出ますよ」

 騎兵隊の小部隊の指揮官が声を掛けてきた。彼は、たしか前の
 追撃戦で一緒になったマルケルスと言う人だった。

 「どの武器を使うかは、おまえ自身で決めるが良い・・・そろそろ
 砲台の丘の背後に出るぞ。戦闘準備せよ」

 メルギウスは騎兵隊を行軍隊形から戦闘隊形に編成する。歩兵
 部隊は、まだ到着していなかった。

 「斥候を出そう、詳しい状況が知りたい。ゼノン、弓の扱いの得意
 な兵を20人程連れて行って様子を見て来い。歩哨が居たら倒して
 おけ。だが、敵に気取られるようなら、すぐに引き換えして来い。
 こんな小規模な戦いで犠牲を出すのは馬鹿馬鹿しいからな」

 「他の物はすぐにでも突入できる体勢で待機。万一、偵察部隊が
 敵に見つかったら、突入して助け出す」

 ゼノン率いる20人の男達が、藪に隠れながら丘を目指す。聞こえ
 てくる轟音は、城塞に向けて砲撃する大砲の音だろう。大砲の轟
 音で、足音を消してくれる。さらに、この辺りには、深い藪が密集し
 ている箇所が多く、敵に気取られる事なく接近に成功した。

 「あの歩哨を見てくだせぇ、城の方ばかり見てやがる。敵の錬度が
 分りやすね・・・やっちまいやしょう」

 弓で撃ち倒すと藪に死体を隠す。敵の砲台のすぐ裏手に出ると、城
 塞まで戦場の一面が見渡せる。

 歩兵部隊が城に取り付いて攻め立てる。ファルコネットは味方に
 気を付けながらも援護をやめない。防衛軍も石や弓で必死に抵抗
 するものの、砲撃の効果は絶大で、城壁ごと吹き飛ばされる者も多
 かった。落城間近と見た騎兵隊は、入城するために城に向かって
 いた。そのため、砲撃陣地には、思いのほか守備兵が少なかった。

 「あと、30分遅れていたら落城してやしたね」

 「ああ、危ない所でした。すぐに父上に知らせなければ」

 報告と聞いたメルギウスは、直ぐに突入を決断する。600の騎兵
 全てを砲台の制圧に充てれるのは大きかった。

 「歩兵の到着を待っていたら、落城してしまう。
 一気に砲台を奪うのだ」

 戦いの前の鼓舞を早急に切り上げ、剣を高く掲げ号令する。

 「突撃せよ!」

 騎兵が一丸となって丘を駆け上がる。砲台に殺到すると、剣を振るい
 敵兵を屠っていく。瞬く間に、敵兵の数十人が討ち取られた。

 「ヴェ・・・ヴェネト人共が、なんでここに・・・」

 落城寸前で気の緩んでいた砲台の敵は、恐怖に駆られ
 砲台を捨てて逃げ惑う。

 「深追いはするな!砲を確保できればそれで良い。それより、マント
 ヴァの旗を降ろして、我が国の旗を打ち立てよ」

 それまで、城壁に向けられていた砲が、今度はマントヴァ軍に向か
 い火を吹く。さらに、マントヴァの旗が降ろされ、ヴェネツィア軍の
 旗が立てられた。これを見た防衛軍の士気は一気に上昇した。

 マントヴァ軍は、奪われた砲台を奪取するために戻ってくる。
 騎兵部隊と、歩兵隊の7百人程だ。

 「馬鹿め。逆落としを喰らわせてやる。砲台の維持に100名を割く。
 残りの者は、直ちに隊形を整えて突撃する」

 坂を駆け下り、敵の騎兵隊に突っ込む。慌てて戻ってきた騎兵隊と、
 城に取り付いていた歩兵隊の間には、大きな距離がある。
 2倍以上の数の騎兵に攻められた敵は、波に削られる砂山のように
 みるみる数を減らしていく。

 そこに、魚部隊が到着した。走りながら、行軍隊形から戦闘隊形に
 変えられていく。こんな芸当が出来るのは、積み重ねられた訓練の
 実力の賜物である。銀色に輝くスケールアーマーが群れを成して、
 一糸乱れぬ動きを見せる様は、「魚部隊」の異名に違わぬ物だった

 魚部隊は、向ってくる歩兵隊の側面を貫いた。突き出される穂先を
 剣で跳ね除け、敵の懐に潜り込み剣で切り刻む。スケールアーマー
 は弓や槍等の貫通攻撃に弱いが、軽く、動きも阻害されず、尚且つ
 斬撃には滅法強い。近接攻撃が得意なこの部隊には、うってつけ
 の鎧と言える。

 同時に、ピエロ率いる2400の歩兵隊も城壁に取り付いている敵の
 側面から猛攻撃を加えた。攻城戦で疲弊した部隊に彼等を受け止
 めろと言う命令は、不可能としか言いようがなかった。

 この戦いで、マントヴァ軍は1000人近い兵を失った。だが、我が軍の
 被害も少なくない。防衛軍は半数近い兵を失い、また、生き残った者
 も、何処かしら負傷している状況だった。破壊された城壁、焼き払わ
 れた農村地の復興に掛かる費用は、見当がつかない。

 我が隊にも犠牲者は出た。騎兵隊は死者18人、魚部隊に21人、
 漁師部隊は9人だった。ピエロ率いる歩兵隊は83人の被害だった。

 アゾラの解囲作戦を終了すると、本隊に合流した。一方のダルヴィア
 ーノの方は、彼が大軍を率いてオーリオ川を渡河したとの報が伝わ
 るとマントヴァ軍は奪った城を放棄して本拠地に撤退する。だが、マ
 ントヴァ軍は撤退する際に、城に貯蓄されていた食料を奪い、農村
 地帯を焼き払って撤退した。

 このため、ヴェネツィア軍は食料危機に陥り、本国に食料の要請を
 伝える。しかし、全ヨーロッパを敵に廻して戦うヴェネツィアに、小麦を
 売ってくれる国など存在しない。また、トルコ・エジプトに小麦の買い
 付けに向った船が、戻ってくるのに少なくとも、後一月はかかるとの
 事だった。

 こうして、我々は、日々の糧にも不足する身になってしまった。

 その頃、教皇の名で例の大勅書が公表される。本格的に各地の
 王侯が対ヴェネツィア戦に向けて軍を進める事を意味した。

 対ジェノヴァ戦争以来の危機がヴェネツィアを襲う事となる。


 次回へ続く

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