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カンブレー同盟戦争 その2


 1509年1月某日 ローマ教皇庁
 ローマ教皇であるジュリオ2世(ラテン読みユリウス)は
 カンブレー同盟に参加するか否か迷っていた。たしかに
 ローマニャ地方の都市を手放す気が無く、以前にもまして
 増長しつつあるヴェネツィアを叩き潰したい意思はあった。
 だが、イタリア国内にこれ以上外国勢力に介入されても困る。
 その上、トルコの侵略を防いでいるのは他ならぬヴェネツィア
 である。彼等が東地中海に睨みを利かせているからこそ、
 海賊も思う存分海で暴れる事は出来ないのである。

 ある日ユリウス2世は、ヴェネツィア大使のジョルジョ・ドルフ
 ィンと会談した。内容はもちろんロマーニャ地方の返還である。
 最初は穏やかに会談をしていたが、次第に議論は白熱し
 遂にジュリオ2世は
 「ヴェネツィア人など昔のような漁村に落ちぶれされてやる!」
 と言い放つ、だが、大使は平然と
 「ならば、共和国はあなたをただの司祭し貶めてみせる!」
 と言い放って会議は決裂した。
 その後ジュリオ2世はカンブレー同盟に参加する事を決意する。
 正式加盟をするのは1509年の3月23日である。


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 1509年1月17日
 コルフ島を出航して数時間、既にコルフ島は見えなくなって
 いる。
 ゼノンは何故か顔に青痣を創っている。理由を聞こうと思
 ったが、父に「詮索するな」と言われた。兵の一部は、
 「だから言わんこっちゃ無い・・・」とゼノンを見て意味深な
 台詞を吐いた。

 俺達が乗っている船はガレー船ではなく3本マストの帆船
 で、このタイプの船をヴェネツィアでは「丸型船(ナーヴェ・トン
 ダ)と呼ぶそうだ。どうしてガレー船を使わないのかと、艦長
 のレニエールさんに聞いたら
 「今回の航海は戦闘に出かけるのではないからさ。ガレー船
 は戦闘用にコルフ島に駐留させてある、それに冬のこの時期
 は穏やかなアドリア海でも海は荒れるし波も高い。ガレー船だ
 ったら塩水おっ被っちまうだろうよ」
 さらに帆船の方が積載量も多いし、漕ぎ手もいらない。風の強
 い今の時期なら凪になることも無いからだそうだ。

 その後の船旅は順調に進み、1月25日にはザダールの町に到着
 した。この町で水食料の補給と休養に2日間費やす。出航したの
 は27日で、この後は一気にパレンツォに向う。順風に恵まれて31
 日に到着する。後はもうヴェネツィアまでは目と鼻の先で、2月2日
 の朝にはヴェネツィアに到着した。
 
 ヴェネツィアに入る前にリドの外港で疫病の検査を受ける。西欧
 一とも言って良い人口が密集しているヴェネツィアではひとたび
 ペストが発生すれば1000人規模の死者が出る。ただでさえ大国
 に比べ人口の少ないヴェネツィアでは疫病で人を死なせるほど
 人材は豊富ではなかった。
 検査が終わり無事にヴェネツィアに入港したのは翌日の2月3日
 の事だった。

 小船で潟(ラグーナ)に入ればヴェネツィアの街が見えてくる
 正面に、見えてきたのは元首公邸でその側に立つ高い塔が
 サン・マルコの鐘楼だった。

 この時期のヴェネツィアは謝肉祭の準備や、春からの交易船団
 の人員募集や物資の積み込み等で賑わっている。サン・マルコ
 広場では謝肉祭の飾り付けをする職人や、仮面を売っている店が
 並ぶ。子供達は仮面を被りはしゃぎ回っていた。この光景を見れば
 これから戦争が起こることなど到底信じられない。

 ヴェネツィアに到着した我々はある人物を尋ねる。その人物は
 バルトロメオ・ダルヴィアーノ(Bartolomeo d’alviano)
 彼はヴェネツィアに雇われいる傭兵隊長の中でも騎兵の用兵は
 欧州一との評判である。我々の傭兵部隊は、彼の指揮下にある。
 「おお、メルギウスよ待っていたぞ、半年ぶりだな」
 1508年の対ハプスブルク戦争の勝利は彼の存在が大きい。
 彼は、性格が激しく親分肌で、傭兵の集まりのヴェネツィア陸軍
 は彼によってまとめられていると言っても良い。
 「ダルヴィアーノ殿、壮健そうで何よりです。今回の戦では私奴の
 息子も参加させたいと思い連れて来ました」
 ダルヴィアーノは父の後ろでゼノンと陳老人と共に控えている俺を
 見据えていった
 「ほう、これがお前ががいつも自慢しているアーカントスか・・・
 ふむ、やはり目つきといい、黒髪と肌の色といいお前の子に間違
 い無いな・・・」
 見据えられた俺は慌てて頭を下げる
 「ちっ・・・父がいつもお世話になっています・・・俺、いや、私が・・・
 アーカントスです・・・」
 横に居る陳老人が含み笑う。ゼノンも笑いを堪えている。
 「がっはっは!そう硬くなるな、俺は一介の傭兵隊長だ・・・
 ところでメルギウス・・・」急に神妙な顔になり、父の顔を見る
 「・・・・・・そう言えば髪が薄くなったな、白髪も増えたし・・・
 その、奥さんとうまくいってないのか?」
 俺はずっこけた、陳老人は壁に突っ伏して震えている・・・
 ゼノンに至っては完全に爆笑している。
 「うまく行ってます!ゴルァ!ゼノン笑うんじゃネェ!!てめー
 なんざツルッパゲじゃねぇか!」
 「あっしのは剃ってるんでサァ・・・」
 この一言が更に全員の爆笑を誘う。俺もこらえ切れない。
 従僕が何事かと、部屋に入ってくる。
 「いやー悪い、悪い・・・しかし、普段は見られない姿を見せても
 らったなぁ」
 父は憮然として
 「いいえ!怒っていません!!」
 と言い放つ。俺もこんな表情の父を見たのは初めてだった。
 
 その日はダルヴィアーノの屋敷に泊まる。船旅の疲れからか
 貪るように眠った。リドの検査の時も船の上で寝たので、陸
 地で眠りに就けたのは、ザダール以来の事だった。

 翌日にはヴェネツィアを発ち、ヴェネツィアから最も近い街メストレ
 に着く。その街にはコルフ島から共に来た兵が待機していた。
 さらに、この街で迎えが来る手筈になっていた。
 「隊長!お久しぶりです。よう、ボーズ元気にしていたかぁ?」
 その男はゲラシモスと言う男だ。コルフ島に在住している我々の
 部隊は、ほんの一部の騎兵で、大多数の騎兵と歩兵部隊は
 パドヴァの町に配置されていた。ゲラシモスは本土に在住している
 部隊の纏め役だった。
 「おう!背が伸びたナァ・・・後は女の一人でも連れてりゃあ立派な
 男になるぜ」
 気さくな性格の彼は誰とでもすぐに打ち解けて、兄貴的な存在だっ
 た。そのため父も彼を信頼して留守役を任せられる。

 「メルギウス殿、お久しぶりでございます。」
 そしてもう一人がこの男、ユダヤ人の故買商人アブラハムだった。
 故買商人とは、軍隊で必要な物資である食料、武器弾薬、日用品
 などを売りつけ、戦利品や略奪品を買い上げて利益を上げるのが
 仕事だ。
 ユダヤ人同士のネットワークを利用して、いつでも食料などを買う
 ことが出来る彼らは敵、味方問わず重宝される。
 さらに父は、故買商人以外にも財政管理人としても彼を起用して
 いる。
 
 数字に強い彼の存在無くして、我々の傭兵部隊は成り立たない。
 また、彼のほうも部隊の資金を利用し、様々な分野に投機して
 莫大な利益を上げている。その利益の一部はヴェネツィアに
 亡命してきたユダヤ人のために利用される。その結果、他の傭兵
 部隊より安い値段で良質な物資を売ってくれるのだ。
 「お互い持ちつ持たれつですよ・・・」
 とアブラハムは語っていた。

 パドヴァに着くと在住していた部隊の歓迎を受ける。
 そして翌日からは、部隊の再編成と猛訓練が始まる。
 ダルヴィアーノからの情報によると、戦争が不可避となりそうだった。

 この時代の戦争は冬の間は行なわれない。
 戦争が行なわれるのは春~秋なのだ。

 そして3月フランス軍がミラノに集結しつつあると言う情報が入る
 3月23日にはジュリオ2世が正式に同盟に加入した。

 これを知ったヴェネツィアは、直ちにジュリオ2世にロマーニャ地方
 の返還と年貢金の支払いを申し入れたが、積年の恨みを持つ
 ジュリオ2世に拒絶された。

 こうして、ヴェネツィアは一都市国家の身でありながら、全ヨーロッパ
 を敵に廻した孤独な戦いを強いられる羽目になった。



 次回に続く


 
 
 
 
 
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